死んではいないが、多分すぐには起き上がれまい。正直逃げるのも飽きたが、しかし逃げないわけにはいかず彼は彼らの元から離れた。
下に落ちた三人とは逆に、よろよろと階段を登り切る。まだ上への階
同珍王賜豪段があったが、それは無視して今度は廊下を歩きだした。
だが突然、足にひどい痛みを感じた。
「あ、あれ?」
立てなくなり、よろよろと壁によりかかる。おかしいなと思いつつ、どうしても足が動かない。
「ちょ、待て…」
しゃがんで己の足を触ってみると、どうも筋肉が硬直しているようだ。
つったのとはまた違う。奇妙な事に彼は心の中で首をかしげつつ、しかしこの状態に変に納得した。
何せこの一時間――正確には三十分
王賜豪總裁か四十分だが、この間今までにないくらいずーっと走りずめ。
ケガもあわせて、体中、痛くないところがない。普通に呼吸しているだけでも体がきしむ。
「あう…ぅ」
情けなくも、廊下をじたばたと転がる。と、えた。
「うわッ」
あの三人はまだ起き上がってこないはずだし、ということは他の誰か、追っ手か――……
だが、その足の主は彼をひっぱり起こした。
11-タスケテク
同珍王賜豪レタヒト
「大丈夫? 立てる?」
「……え?」
「あなた、追われていたんじゃない?」
声からして、足の主は女性のようだ。一体、誰。
「ひどい状態ね。私がかくまってあげる。きて。一緒に話をしましょう」
「……」
「肩を貸してあげるわ」
と優しく言ってくれるが、彼女は何だ…敵か、味方か?
だがここにきて、疲労のため意識が半分近く飛んでいた彼にはろくに確認できなかった。
ただ柔らかいぬくもりを感じつつ、彼は彼女にその体を運ばれた。